インヴェンションなんかやって何になるのか

嫌ならやらなくてもいいのでは。インヴェンションの練習は、直ちに古典派以降の音楽を弾くのに有用というものではない。
のでどうしても嫌なら後回しにしてもいいし、楽しんで弾いている分にはやらなくても構わない。「ツェルニー30番に進んだからやらないと」みたいな義務感でやっても全然面白くないかも。
ただ、ハノンやツェルニーなど役に立たないという人は幾らでもいるが、バッハが役に立たないという人は、一流の作曲者や教師にはいないと思う。
ショパンは「バッハが全ての基本」とことあるごとに言い、演奏会の前には自分の曲よりバッハの曲を多く練習していたという。これは複数の証言の裏付けがあり、伝説ではなく事実のよう。


特に3声以上は各指の独立、強化に非常に有用。ハノンなんかを漫然とやっているのとは比べ物にならないくらいの練習効果がある。


ベートーヴェンソナタなどでも、ポリフォニックな動きはしばしば出てくる。ソナタ形式の展開部などでは必ずといっていいほど。悲愴第3楽章ロンドの、中間部のフーガ的部分なども有名。
モーツァルトも晩年のソナタや、中期まででも緩徐楽章にはポリフォニックな動きが多い。キラキラ星変奏曲の後半の変奏、その他の変奏曲なども。
インヴェンションをやっていない人は、いずれそういうところでつまづくと思う。


何より芸術性が高い。ハノンやツェルニーなどとは比べるのも失礼である。弾いていて面白い。
逆に面白さが分からない人には苦痛かもしれない。
グールドなど、良い演奏を聴いてみるといい。今は800円もしない。
Two & Three Part Inventions and Sinfonias
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