バッハ「インヴェンションとシンフォニア」の練習の進め方について

2019/10/19更新
はてなが勝手に節ごとに記事を分けてしまい、読みづらいので元のように編集しました。
内容はおおむね今でも通用すると思います。
楽譜はもっと良いものが出ているかもしれません。


■楽譜について

リストマニア インヴェンション尽くし(バッハ「インベンションとシンフォニア」の楽譜の比較と選び方)
http://www.amazon.co.jp/gp/richpub/listmania/fullview/R176RMV0TWEQJ8/
に、国内で通常入手できるものはほとんど書いた。おおむね市田
asin:4111050808:image:small
http://www.amazon.co.jp/dp/4111050808/
があれば問題ない気がする。楽器店ではツェルニー版やビショップ版ばかり売れ残っていて、案外見かけない。そのせいで知らずにこれら二者を買って行き、「全音版は使えない」などと思っている人もいる。困ったものだ。


ただし運指が特殊なので墨守せず、自分でも考えること。バッハ自身は運指を全く指示していない。
わからなければ他版の運指も参考にする。ネットに載っている楽譜もあるので運指だけならこういうのも活用できる。
バッハ自筆譜はないが、バッハ生前の弟子の写本も見られる。この時点で同じ番号のインヴェンションとシンフォニアがセットで書かれているのは興味深い。
http://imslp.org/wiki/15_Inventions,_BWV_772-786_%28Bach,_Johann_Sebastian%29
http://imslp.org/wiki/15_Sinfonias,_BWV_787-801_%28Bach,_Johann_Sebastian%29


フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」ではバッハの自筆譜が見られる。すごい、すごすぎる・・・・
2声インヴェンションはこちらにも収録されている。
http://imslp.org/wiki/Notebook_for_Wilhelm_Friedemann_Bach_%28Bach,_Johann_Sebastian%29


■難易度について

よく引用されている難易度表は以下の通りだが、異論もあるところ。

長岡敏夫
インヴェンション
1、4、8、13、10、11、14、15、3、2、6、5、7、9、12
シンフォニア
11、4、6、7、1、13、10、8、3、15、12、14、2、5、9

園田高弘
Invention
1 ,3 ,4 ,7 ,10,13,14,15,2 ,8 ,5 ,6 ,9 ,11,12.
Sinfonia
1 ,2 ,3 ,6 ,8 ,10,12,15,4 ,5 ,7 ,9 ,11,13,14.

これらは下記の楽譜に記載されている説。
『バッハ インベンションとシンフォニア / 長岡敏夫』
http://www.amazon.co.jp/dp/4276413125/
園田高弘 校訂版 J.S.バッハ インヴェンション』
http://www.amazon.co.jp/dp/4393912330/


2声については下記の説もある。バッハ自身が勧めていた順番ともいうが、出典はよくわからないので怪しい。私はバッハの基本的な文献はある程度当たっているが、こんなの聞いたことがない
(2015/2 ご指摘により、フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集の順番とわかりました)
http://imslp.org/wiki/Notebook_for_Wilhelm_Friedemann_Bach_%28Bach,_Johann_Sebastian%29
調号の数は順に011110223244323で、後に行くほどおおむね増えていて、しかも全く調号の順というわけでもないので、練習の進め方の順と考えていた可能性は十分ある。

1番、4番、7番、8番、10番、13番、15番、14番、12番、11番、9番、6番、5番、3番、2番

ついでに、
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1226251262

インベンションの習熟を試す方法として、バッハ本人が「弾きながら会話ができること」と言ってます。

いや、そんなこと聞いたことないから。
『アンナ・マグダレーナ・バッハの思い出』
http://www.amazon.co.jp/dp/4061592971/
にでも書いてあるのだろうか。これは20世紀に書かれた偽書で、小説みたいなものである。それとも噂だろうか。


2声については1, 4, 8あたりが比較的易しい、2は難しめというのが割と共通認識のよう。有名な13も容易ではない。


3声は、長岡説で最後の2, 5, 9は芸術的な意味で難しい曲。2, 5はフーガ的な曲ではないので技術的にはそう難しくはない。9も芸術的には大変難しい曲だが、技術的にはフーガ的な曲の中でも難曲というほどではない。

どちらも7がそれほど難しいとされていないのは疑問。7は市田版では「難渋を極める」、ツェルニー版の全音編集部(著者不明)も「たいへん難しい曲である」としている。個人的にも、3度と6度の連続がもう、鬼のように難しい・・・しかも左手にも容赦なく出てくる。

ブゾーニ市田ツェルニー版は共通して、14番が最も難しい曲としている。ブゾーニはこの曲が弾ければ平均律のフーガの難しくない曲などどうってことない、とまで書いている。
長岡説でも芸術的に難しい2, 5, 9を除けば14が最も難しいことになり、長岡、園田説でも14最難ということで共通していることになる。
特に17-19小節は、この曲集全ての中でも最も難しいフレーズ。自分で弾いていても声部を全て聴き分けられているか怪しいくらい。
ブゾーニ編の英訳版で14番の解説は以下の通り。Clavichordは原文ママ

http://imslp.org/wiki/Special:ImagefromIndex/42225 (PDF とても重いので注意)

The Editor considers this piece contrapuntally one most developed in the collection, and consequently the most difficult to play. Bringing out the stretti in the third section without poking or pushing, and maintaining a steady tranquility, demand a rather high degree of artistic maturity. So that after successful mastery of this, the study of the "Well-tempered Clavichord" may well begin; some of the less exacting numbers in this important work (for example, the fugues in E minor and F major, Book 1) ought not now offer serious difficulty.


■2声は全て終えてから3声に進むべきか

下記の説におおむね賛成。

yasuyuki_maekawaさん

最近の考え方
・バッハをやったほうがいいのは事実。しかし、それは3声以上の話で2声をいくら練習してもあまり意味がない。
・2声のインヴェンションは難易度が低いので、慣れると練習がルーチンワークに陥りやすい。
・だからインヴェンションは数曲で切り上げて3声シンフォニアに移行したいが、ちょっとハードルが高く挫折する人もいる。
・ぶっちゃけツェルニー30番程度でシンフォニアは弾けないだろう。
・なので、他の曲集をやって基礎力があがったところでシンフォニア、というのがよいかも。
・独学でインヴェンションは無理、といってる人は単に不勉強なだけ。確かに最初は指導を受けないと弾けないが、解説付きのよい楽譜を使えば大丈夫(これが重要。なかなか良い楽譜がない。全音市田編がおすすめ。)慣れれば原典版でも独学で弾けます。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1439658569


2声は片手で一声ずつ弾き分ける練習が主目的なので、両手の独立が完全に出来るようになれば、必ずしもそれ以上練習しなくてもよい。芸術的にも3声の曲に比べるとやや劣る曲もある。
もちろん芸術的に優れている曲も多いので、全て練習してもいいけど、それは3声に入った後に余裕があれば、でも構わない。
3声以上が重要で、2声はそのための踏み台なのだから(バッハ先生ごめんなさい)、2声でうんざりして挫折して3声に進めないのは本末転倒。2声で挫折するくらいなら早めに3声に取り組むべき。


3声になると片手で二声を弾き分ける練習、両手で中間部の声部を引き分ける練習、両手で音を自然につなげる練習などが入ってくる。指換えなど独特のテクニックが必要になる部分も多い。こういったところでつまづきやすいが、弾けるようになれば大きな練習効果がある。
2声から3声にステップアップ出来れば、4声以上を弾くのは2声→3声ほど難しくない。
平均律1-8フーガのように、3声なのに4声より難しいような曲もあり、必ずしも声部が多いほうが難しいとは限らない。


5声は平均律1集の4, 22の2曲があるだけで、2集に5声の曲はない。6声以上の曲は足鍵盤を使うオルガン曲や、「音楽の捧げもの」「フーガの技法」など、演奏楽器が不明のものを除き、手鍵盤曲には無いと思う。


■3声はどの曲から弾くべきか

3声は形式上の違いにより2つに分類できる。
○あまり対位法が厳格ではない、自由な形式の曲
○緻密な対位法による、フーガ的な曲、ほとんどフーガと言っていい曲

前者は2, 5, 11, 15など。
後者はそれ以外。
前者は芸術的な難しさはあるが、技術的には比較的弾きやすい。
3声に入るにはまず前者のグループから入って3声に慣れてから、後者グループに挑戦するのがおすすめ。


5は装飾音の問題が非常に厄介だが、装飾音を弾かなければ3声で最も易しい。
(というか装飾音の練習曲である。チェンバロを念頭に置いた装飾なので、全く楽譜通りに弾くと、くどくなる。かといって全く弾かないと演奏効果がだいぶ劣る。その辺のバランスが難しい。しかしはじめは装飾音なしで練習してもよい)


15は速いアルペジオが厄介だが、3声部全てが同時に動くところは少なく、実質2声に近い。プロのように早く弾くのでなければそう難しくない。
タイで長く伸ばされた音は楽譜の指示どおり、きちんと伸ばし、途中で曖昧にしない。
休符のあるところは伸ばす音につられて伸ばさず、きちんと止める。
後半の交差は交差しないで弾く運指もあるので、そちらを採用してもよい。


11もタイで伸ばす音、付点音符をどこまで伸ばすか充分注意。
12小節のド、17小節のソのように、長い音符を弾きながらすぐ後で他の声部で同じ音を弾くようなところは、現実には楽譜通りに弾くことは不可能なので、二度目を弾いたあと、二度目の音を最初の長い音符の長さまで伸ばすことになる。長さを意識し適当に弾かないこと。シンフォニア1にも同様のパターンは多く出てくる。
24,57小節の異常に長く伸ばす低音も、実際に響くかどうかは別としてきちんと押さえ続けること。おそらくオルガンで弾くことも想定した曲なので、電子ピアノならオルガンの音で弾いてみてもよいかもしれない。
全音ツェルニー版の解説にはクラヴィコードで持続音が出せたという記載があるが、クラヴィコードはビブラートは付けられるが持続音は出せないので誤り。)


2は53でトリルを弾きながら21で別の声部を弾くところ、左右の受け渡し、換え指での音の保持など、幾つかの難所があるが、それ以外は意外に難しくない。


後者のグループでは1, 8などが比較的弾きやすいので、前者のグループに1曲程度取り組んで3声に慣れてから弾くとよい。
1は意外に難しいと言われているが、前者グループを含めた場合のことで、後者グループでは簡単な方に入る。
8は親指を押さえたままのトリルが厄介だが(19小節では左手にもある)、2声の受け持ちは3小節ほどを除き、ほぼ右手に割り当てられているので弾きやすい。
ピシュナ、リトルピシュナなどに、親指を押さえながら他の指を動かす練習が多く出てくる。
なお、親指を押さえたままのトリルは、手首の助けを借りられないので、5353が弾きやすい。54, 43など、弱い4を使ったトリルは避けた方がよい。
ベートーヴェンの悲愴1楽章174小節なども同様。ショパン小犬のワルツ冒頭も1243が弾きにくければ1253でもよい)
親指を弾かない時は手首で助けて4を使ってもよい。


■インヴェンションから平均律

バッハに限らず、大抵の曲集は他の曲より飛び抜けて難しい曲を含む。これはもう、定理と言ってもいいような気がする。
シンフォニアの場合は7, 14など。このへんになると平均律1-2, 1-6のフーガなどより技術的に難しくなってくる。もちろんほとんどの前奏曲よりは遥かに難しい。練習曲というより、作品としての「創意(インヴェンション)」を重視しているのでしょうな。
個人的にはシンフォニア7, 14と平均律1-1の4声フーガあたりは、難しさにそう違いはない印象。
シンフォニアが全て弾ければ平均律のフーガは半分以上弾けるとも言われるが、私はそんなにたくさん弾いたわけではないので断言はできない。


シンフォニアも全曲練習にはこだわらず、平均律に移ってもよいと思われる。ただしこれらシンフォニアの難曲は芸術的に優れていて、練習効果もあるので、余裕があればやったほうがよい。
フランス組曲やイタリア協奏曲に進むのは、まあお好みで。


■左手が動かない!

2声1, 4, 8あたりもまるで手に負えないという人は、だいたい左手が動いていない。フランス組曲5のガヴォットなどでも、譜面はものすごく簡単そうに見えるのに、まるで弾けずイライラし、「自分こんなに下手だったっけ?」と愕然とするパターンだと思う。
フランス組曲5のガヴォットが、ドレミの『ピアノ名曲110選(A)』 http://www.amazon.co.jp/dp/4810804127/ に入っているのって、モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」が入っているのと同じく、無茶だよね)
やはり左手がおぼつかないから、こういうことになる。
別に下手ではないので、あまり落ち込むことはない。ポリフォニーに慣れていないだけ。


バッハの曲は、右手のメロディに合わせて左手で何となく「ドソミソ」とか合わせていればいいというものではない。左手の確固としたメロディ・ベースラインに右手が乗っている構成と考えるべき(合奏の場合は通奏低音となる部分)。
左手だけで完全に弾けるようにならなければ話にならない。


よく左手は3倍練習せよとか書かれているけど、ポリフォニーを弾いたことのない人は、そのくらいの感覚でいても大げさではない。慣れてきたらそこまで練習しなくてもよい。
また3声以上の曲はどちらかというと右手が忙しくなる。バッハは「両手が区別なしに動く」と言われるが、3声以上の曲になると、難しい技術はどちらかというと右手に増える傾向にある。
例えばシンフォニア2の「53でトリルを弾きながら21で別の声部を弾くところ」は、左手には出てこない。左手は単にトリルを弾くだけ。
しかし左手でも声部を受け持つことに変わりはない。どんな曲でも左手だけで完全に弾けるようにする、というのは、やはり基本。


■インヴェンションの前段階

インヴェンションに進むまでの練習について。
これも下のリストマニアや、それぞれの楽譜のレビューにも書いたけど、
http://www.amazon.co.jp/gp/richpub/listmania/fullview/R176RMV0TWEQJ8/
クラヴィーア小曲集
アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳
小プレリュードと小フーガ
などから好きなのを選んで、その中の簡単そうな曲を幾つか練習して、その後2声インヴェンション1, 4, 8あたりを弾いて手に負えるようなら、そのままインヴェンションに進めばいいと思う。
いきなり2声1, 4, 8あたりを弾けるようなら、前段階を踏まなくてもいいと思う。
「プレインベンション」は子供でなければあまりおすすめできない。ましてこれを全部やるのは、はっきり言って時間の無駄。


■各声部を分けて練習すべきか

2声は片手ずつ練習して後に合わせるのが基本。慣れてきたら片手練習は少しだけでいい。


3声については、
・一つ一つの声部を3つに分けて練習
・そのうち2つを取り出して3通り組み合わせ練習
・最後に全てまとめて練習
という7段階を踏むべきだという人がいるけど、個人的にはそんなまだるっこしいことやってられない・・・
3声に取り組みだした頃は、慣れるためにそのくらいやっても良いと思う。徹底的に分析したい人もやってみればいいと思う。
しかしおおむね片手ずつ練習して、その後両手を合わせればいいと思う。

声部が両手にまたがる部分は適宜もう片方で補助して片手練習をする、という感じ。


■バッハを弾くのに効果的な練習曲はあるか?

ありません。
バッハを弾けるようになるには、バッハを弾くしかない。
バッハで必要とされるテクニックは、ツェルニーとかハノンとかとは全く異質なもの。
よく「インヴェンションが弾けないけど、どうすれば」という質問に、「毎日ハノンとツェルニーをやれ」とか、トンチンカンなことを書いてる人がいるけど、はっきり言って無駄。これらは左右ユニゾンか、右手メロディ・左手伴奏(あるいは逆)の曲ばかりで、バッハを弾くには役にたたない。
同様に、インヴェンションはツェルニー30番程度か、とかいう議論も無意味。ツェルニーとインヴェンションでは必要とされるテクニックが全く異なる。前者が弾ける人でもインヴェンションは全く歯が立たないということはよくある。


強いて挙げれば、バロック期の他の作曲者の、平易なポリフォニー音楽を助走として使うことも考えられるが、初級者向きで芸術性も高い曲集があまり出ていない。
「プレインベンション」 http://www.amazon.co.jp/dp/4111702708 はレビューにも書いたけどイマイチだし。
それなら「バッハ小曲集」など、バッハの平易な曲集を使うほうがよい。


なので3声以上を弾けるようになるためには2声インヴェンションを、2声インヴェンションを弾けるようになるためにはバッハの平易な曲集を練習、という形で進めていくのが王道。


3声などでどうしても指が動かないといった場合には「リトルピシュナ」「ピシュナ」といった練習曲が有用。もともとこれらはバッハの3声以上の曲などのために、片手の中での個々の指、特に弱い4, 5などを強化するために書かれたもの。
これらは曲の体をなしていないので、うまく弾けないところや弱いところを強化するといった使い方がよい。これらの曲集を弾くことを目的にしても意味はないし、やり過ぎると指を痛める。
ハノンよりは左右の独立に力点を置いているものの、どちらかというと個々の指の強化・独立に重点が置かれているので、2声がうまく弾けない段階の人にはあまり有用ではない。結局、バッハを弾くためにはバッハを練習するしかないのである。
ただし「リトルピシュナ」は、全くの初心者が一から左右の独立を習得する教本としても使える。


3声を弾くようになれば45等の弱い指は嫌というほど強化されるので、あえてこのような強化本をやる必要はあまりない。
個人的には毎日の練習の準備運動に3声シンフォニアを弾いている。ハノンなどよりよほど指と頭のトレーニングになる。


■インヴェンションなんかやって何になるのか

嫌ならやらなくてもいいのでは。インヴェンションの練習は、直ちに古典派以降の音楽を弾くのに有用というものではない。
のでどうしても嫌なら後回しにしてもいいし、楽しんで弾いている分にはやらなくても構わない。「ツェルニー30番に進んだからやらないと」みたいな義務感でやっても全然面白くないかも。
ただ、ハノンやツェルニーなど役に立たないという人は幾らでもいるが、バッハが役に立たないという人は、一流の作曲者や教師にはいないと思う。
ショパンは「バッハが全ての基本」とことあるごとに言い、演奏会の前には自分の曲よりバッハの曲を多く練習していたという。これは複数の証言の裏付けがあり、伝説ではなく事実のよう。


特に3声以上は各指の独立、強化に非常に有用。ハノンなんかを漫然とやっているのとは比べ物にならないくらいの練習効果がある。


ベートーヴェンソナタなどでも、ポリフォニックな動きはしばしば出てくる。ソナタ形式の展開部などでは必ずといっていいほど。悲愴第3楽章ロンドの、中間部のフーガ的部分なども有名。
モーツァルトも晩年のソナタや、中期まででも緩徐楽章にはポリフォニックな動きが多い。キラキラ星変奏曲の後半の変奏、その他の変奏曲なども。
インヴェンションをやっていない人は、いずれそういうところでつまづくと思う。


何より芸術性が高い。ハノンやツェルニーなどとは比べるのも失礼である。弾いていて面白い。
逆に面白さが分からない人には苦痛かもしれない。
グールドなど、良い演奏を聴いてみるといい。今は800円もしない。
Two & Three Part Inventions and Sinfonias
http://www.amazon.co.jp/dp/B000VFGSEG/

初音ミクが歌ったシンフォニア2番。なかなかよい。
https://www.youtube.com/watch?v=60H3ZDHLhZc


☆ピアノ関係の記事一覧
中途でほったらかしている記事もあるが・・・
ベートーヴェンの中級者向けピアノソナタについて
http://d.hatena.ne.jp/nenemuu/20130203
ソナタ形式のアナリーゼ(楽曲分析)
http://d.hatena.ne.jp/nenemuu/20121022
大人レスナーへのピアノ入門法私案 その2 薬指の動かし方など
http://d.hatena.ne.jp/nenemuu/20121015
大人がピアノを練習するということ
http://d.hatena.ne.jp/nenemuu/20121003
大人レスナーへのピアノ入門法私案 その1
http://d.hatena.ne.jp/nenemuu/20121002
バッハ「インヴェンションとシンフォニア」の練習の進め方について
http://d.hatena.ne.jp/nenemuu/20120929