★再現部の第2主題★
ここが読譜上の一番のポイント。提示部で属調だったのが主調に戻る。第1主題と第2主題の緊張が解かれる場所である。
短調の場合は提示部は平行調だったのが再現部では同主長調、その後じきに同主短調に転調してそのまま終止部へ、というのが基本。ベートーヴェン1や5などが典型。
ベートーヴェン中期以降は短調も提示部第二主題が属調の短調、再現部は同主短調で、全然長調に転じない曲も多い(月光3、テンペスト1,3など)。
悲愴などは短調と長調の間をウロウロしたり。
再現部第2主題が長調のまま楽章が終わるというのも、ハイドンなど初期のソナタ形式にはあるが、有名な曲ではあまり聴かない(交響曲26ニ短調 Hoboken 1/26など。ピアノソナタでは見つからなかった。そもそもハイドンやモーツァルトは短調が極めて少ない)。
モーツァルトの短調の再現部第2主題はピアノソナタ以外のジャンルでも全て、迷いのない同主短調で、提示部が長調なのに対し、決して長調に戻ることはない。モーツァルトの短調の一番の聴きどころである。
再現部の移行部から提示部と曲想が変わる。ここでうっかり提示部の移行部を弾いてしまい冒頭に逆戻りというミスが多いので、楽譜にはっきり目印を付けておくとよい。