第8番(悲愴)第一楽章

「ピアノ初心者でも弾き易い名曲」とかCDの解説書によく書かれているけど、そんなに甘いものではないと思う。


○悲愴第一楽章と月光第三楽章
悲愴は一般に言われているより少し難しい。月光は言われているより少し簡単な気がする。両曲の差は言われているほど大きくないのではないか。
月光は上級者向けというほどの曲ではないような気がする。


○楽章ごとの難しさ
1>3>2とするのが一般的だけど、第三楽章も結構難しい。
私はかなり早い段階で第三楽章に手を出したのだけど、7ページほどの楽譜が本当に、死ぬほど長く感じられた。今は月光第三楽章の10ページもそれほど長くは感じないけど・・・
1番、5番などを弾いたことのない人は、第二楽章以外には手を出さない方がよい。
第三楽章は繰り返しが少なく、見かけより長い。


第二楽章もポリフォニックな動きが難しい。
要するにこの曲は、全部それなりに難しい。1>3>2というのは、強いていえばという感じか。
3>1>2とする人もいれば、極論として2>3>1とする人もいる。2、3楽章もなめてかかると痛い目にあいます。


○第一楽章の難所
93小節から、再現部257小節からの両手アルペジオが一番難しいというのは、弾いたことのある人の共通認識ではないかと思う。ペダリングも難しい。頭がスタッカートなので一歩遅れて踏む感じか。こういう踏み方に慣れないと難しい。どうしても頭の音にもペダルがかかってしまったりする。
ベートーヴェン自身は全くペダルを書いていないので、全然踏まなくてもいいのか・・・


第一主題の重音も慣れないと早く弾くのが難しい。特に15小節右手ファ・ソとか。
第二主題の交差・右手跳躍は割と何とかなるような気がする。トリルは指使いをよく考える。
113小節、187小節の右手の早いメロディもつまづきやすいが、難所というほどではないか。189小節以降のファは長い3で白鍵の狭いところを弾かざるを得ないのでポジションが不安定。
207小節からの和音は難しくはないが、ややこしく覚えにくい。


展開部はやはり全体的に難しい。左手の強弱の付け方に注意。
難所というほどでないけど、167小節以降のパターンで右手と左手のタイミングがズレがち。左手の方がオクターブで簡単なため。
182小節のトリルは、何度も書いてるけど353でとった方がよい。