第1番

5ページほどでベートーヴェンの本格的なソナタ形式としては易しいので、19,20などのソナチネ以外で初めて弾くには5番と同じくらい向いている、とはよく言われる。
5番とどちらを弾くかだが、5番は悲愴と同じハ短調で、曲想も悲愴と似ているので(小悲愴とも呼ばれる)、いずれ悲愴を弾くつもりならヘ短調の1番の方がおすすめか。
私ははじめ5番を弾いていたが、悲愴と似ているので途中でやめて1番にした。
悲愴の予習と考えるなら5番の方がよいかも。余裕があれば両方弾いても損することはない。


○注意点
11小節上段ラ以降は右手で取るのが一般的か。ヘンレ版では下に1と書いてあり、左手でも取れる。
第二主題の中間部や、32小節あたりからはポリフォニックな動きが出てきている。
楽章最後151小節の右手ファソは親指で両方弾く。ここの終止和音は典型的な短調のトゥー・ファイブ・ワン(II-V-I この曲の場合Gm7b5 - C7 - Fm)の終止になっている。ハノンの音階とかでも出てくるあれ。


○難所
提示部、再現部はおおむね弾き易い。47小節右手に9度プラス間の和音あり。届かない場合はアルペジオで。

やはり展開部が難しいし、他のソナタに比べても展開部が長く比重が重い。67小節からの3声ポリフォニックな動きはインベンションなどをやっていないときつい。
80小節右手は4-1-245でとる。手の小さい人にはきつい。