時間的芸術であること

時間が決まっており、ザーッ・・・と過ぎ去ってしまう。もちろんジャズなど即興で客のノリが良ければどんどん引き伸ばすという演奏もあるのだろうけど、それにも限度があるし、録音物には決められた収録時間がある。
近年ずいぶん長くなったけど、CDでは80分、動画サイトならそれ以下である。


一度聴いたら引き返せない。例えばソナタ形式の第二主題はどんなだっけとか、過ぎてしまうとわからなくなってしまう。
レコードの誕生以来、音楽も再生可能な芸術になった(さらに前にはオルゴールやピアノロールなんていう再生装置もあった。オーケストラ曲のピアノ連弾編曲の楽譜出版というのも、ある意味、家庭での再生芸術の試みである)。
しかし過ぎてしまったらもう一回最初から聴かなければ完全には理解できない、という不便さには変わりないし、つまらない音楽、不快な音楽ならそんなことは絶対したくないだろう。
絵画ならもう一回見返せば済む。