調号が多いほうが弾くのは楽

ショパンなどシャープ・フラット4個以上付く曲が多く、なんでこんな面倒くさい調で書いたんだよ、と思うかもしれないけど、実はピアノでは出っ張った黒鍵の方が弾きやすい。
指かえも黒鍵をテコにすると非常にスムーズに弾けると、黒鍵が入る曲を弾くようになるとわかってくると思う。
猫踏んじゃった(楽譜にすると変ト長調・フラット6個)が簡単に弾けるのも同じ原理。「ハ長調で弾ける」みたいな楽譜が良くないのはこのことに気が付かないから。


ハ長調は実は一番難しい。抽象的、芸術的な意味で書いているのではなく、技術的、現実的にほんとに難しいのである。
ベートーヴェンの3番、21番「ワルトシュタイン」、32番第2楽章のようなハ長調の難曲もずいぶんある。モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」もハ長調だが、相当手こずる。
初歩の練習にハ長調が多いのは、実は一番難しいから練習効果もある、という事情もある。


調号が多いと譜読みは大変だが、4つ以上の場合は、逆につかない音を覚えた方が早い。
シャープ4個ならラには付かない、フラット4個ならソには付かない、と。
黒鍵はオクターブに5個しかないので調号5個なら全ての黒鍵を使うということで、逆にわかりやすい。
6個以上の調もあるが、ミをファに上げたりドをシに下げたり、白鍵で半音ずらす。