チェコスロバキア切手


実はチェコスロバキア切手のファンである。
もう15年くらい遠ざかっていたのだけど、2000種パケットというのを見つけて、つい買ってしまった。
http://marumate.shop-pro.jp/?pid=585609
2000種、重複なしの切手というのは結構な数である。
「さくら日本切手カタログ」の少し古いのが手元にあったのでちょっと調べてみたら、日本切手の場合、明治以来2000年頃までの普通切手が600種、記念切手が1800種くらい。
もちろんこの中には竜文切手や「月に雁」なども含まれる。


重複なし2000枚というのは、そんだけ途方も無い数である。世界切手カタログに当たらないとわからないけど、チェコスロバキア切手の全てとまでは行かないまでも、かなりを網羅しているのではないかと思う。


で、チェコスロバキア。この国の切手はほとんどが凹版印刷で作られている。お札や銅版画の印刷方法といえばわかりやすいか。とても精細な印刷方法で、ルーペを覗いてみないとわからない小宇宙。
中でも「ゲルニカ」の切手がすごい。10倍くらいのルーペを覗いてみると、もう唖然とするくらいの精細な芸術作品。
切手を主に凹版印刷で出している国はスウェーデンなど、他にも結構あり、日本も近年減っているけど、一部の記念切手を中心に、なかなか良い凹版切手を出している。
けどチェコはどこか手工芸的というか、凹版切手特有の冷たさみたいなものがない、暖かみのあるデザインである。絵本の国ならではか。


小さな普通切手サイズのものにもかわいらしいデザインのものもあったりする。
この素晴らしさを写真で紹介できる技術があれば良いのだけど、ちょっと自分の写真機材では難しそうだ。


残念ながらチェコスロバキアの分裂後は、切手の質は下がったような気がする。
共産主義は、チェコスロバキアの切手を除いて、何も文化を残さなかった」と、割と真面目に思う。


・・・しかしネットでも、愛好家をあまり見かけない。


(後記)
普通切手もかなり出しているようで、重複もある程度あり、2000枚では悉皆には程遠いようだ。
チェコ最初の目打ちのない切手シリーズ(1918年)や、オーストリアハンガリー帝国の切手にチェコの加刷をした切手なんかも結構たくさんあった。
スコットなど世界カタログに当たらないと詳しいことはわからないかと思ったけど、今やネットカタログ
http://www.stampedia.net/stamp/catalogue/country,CZE/ja
があるんですな。


今や切手を集める人は減少する一方、世代も年寄りばかりで市価も下がるばかりのよう。「月に雁」なども、状態のそれほどよくないものは4000円程度で売られている。1980年代にはカタログ価で24000円くらい付いていたのだが。
いらない切手を売ろうにも1960年代以降の記念切手は、プレミアなどは夢のまた夢、額面の半額での買取りは当たり前で、しかもシートでないと買わない店が多いようだ。1960年代の物価は今の1/5から1/10くらいだったのだから、額面でもかなり損をしているのに・・・


日本切手は郵政民営化以降、乱発が続き、もうひどいもの。アラブ土侯国
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E4%BE%AF%E5%9B%BD%E5%88%87%E6%89%8B
やディズニー切手を出すカリブ海諸国を笑えなくなっている。


(さらに後記11/26)
アルフォンス・ミュシャが後のチェコ地域の出身で、最初の切手のデザインをしていたとは、恥ずかしながら知らなかった。いや、なんかどっかで見たことあるデザインだなあ、とは整理しながら思っていたのだが。
共産党政権から不当に無視されていたから戦後の切手にはほとんど取り上げられなかった、とのこと。それでか。


少なくともプラハ城切手と不足料切手(数字のデザイン)、新聞切手(鳩のマーク)をデザインしていて、いずれも今回のセットに大部分が入っていた。印面をよく見ると左下にMUCHAの文字あり。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%82%B7%E3%83%A3
なるほど、チェコ切手のデザインの卓越性は、ミュシャ以来の伝統なのですな。