えーっと

探したら2000.5.16に書いてました。もう4年も前か。

ついでなので全文載せちゃうか。なんだか今よりずいぶんきちんと論じてる。どんどんアホになっているような・・・

5月16日 火


パラサイト・シングルの時代/山田昌弘 ちくま新書 1999


流行りものだが、割に興味のあるテーマなので買ってみた。


確かに「パラサイト・シングル」という言葉を創り、このキーワードで現代日本を分析するというのは目の付け所が良いと思うのだが、肝心の著者の主張にはどうも今ひとつ説得力が感じられない。


客観的根拠を書いた思いこみによる推論もちらほら見られる。


例えば第三章「未婚化不況」。要するに「パラサイト・シングル達が親のスネかじって消費しないから、需要が喚起されないで、不況が良くならない」というのが著者の主張。「こじゃれた」ブランドものをバラサイト女性達が買いまくるという明の面がある一方で、住宅などの「基礎的消費」は彼らが独立しないため、いっこうに伸びないと言う。


が、ブランドものが主にパラサイト女性たちによって消費されているという根拠は何も挙げていない(コマダム系主婦などが買っている割合の方が多いのではないか?)。住宅需要が伸びないのも、簡単な話だ。「高すぎる」からに決まっているではないか。パラサイトのせいではない。原因と結果を転倒しないでほしい。


家電などの需要についても、一人暮らし用の家電製品の利益など、電器メーカーにとってはとるに足らないというのは、今日では常識である。


例えば私が引っ越しして一人暮らししたときに買った家電製品は、冷蔵庫35,000円、全自動洗濯機30,000円、電子レンジ12,000円、掃除機10,000円、トースター4,000円、こたつ35,000円(こたつはちょっと高級品にした)、ビデオデッキ30,000円、しめて156,000円に過ぎない。これだけ買いまくっても、せいぜいパソコン一台程度の金額である。しかもそう簡単には壊れないから、買い換え需要もあまり見込めない。不況は果たしてバラサイト達のせいだと、これでも言えるだろうか?


また、自家用車についても、パラサイト達は親の車を共用しているため、売れ行き不振に陥っていると言う。


が、仮にパラサイト達がみんな独立して、その多くが自家用車を購入したとしたら、首都圏の渋滞、大気汚染、交通事故の増加などにどれだけの影響を及ぼすか、ちょっと考えればわかるではないか。それに首都圏は交通機関が充実しているので、もっぱら都市部に住む独身者には、郊外に住む団塊世代夫婦&パラサイトに対して、自家用車を必要としないものが多いことは言うまでもない。独立した若者の何割が自家用車を購入するかははなはだ疑問だ。おそらくかなり低い割合に過ぎないだろう。


百歩譲って、もし彼らが独立して、その大部分の者が車を購入したとしても、果たして駐車場代はどうするのだろうか。東京などでは不動産屋の入り口に貼ってあるチラシを見て、「おっ、安いぞ」と思い、よく見てみたら駐車場だった、なんていうことは誰しも経験していると思う。ここでもやはり、「土地問題」である。


挙げ句の果てに、高齢者就労率の高さまでを、「親がパラサイトを養わなければならないせいだ」とする。このように「始めにパラサイト問題ありき」という論調で、何もかもをパラサイトのせいにするのは行き過ぎではないだろうか?


まして、ラブホテルの盛況が"欧米"に見られないことまでをパラサイト達のせいにするのに至っては、噴飯ものとしか言いようがない。実家に住んでるとエッチする場所がないからだそうです、はい。ラブホテルは「消費」のうちに入らないのかなぁ? 結構じゃないの、ラブホテル需要で景気回復って(笑) まあ無理だろうけど。


とりわけ大きな問題は、「なぜ若者達がパラサイトせざるを得ないのか」という、この社会現象の一番根元的な点に対する、詰めが甘いことだ。


なぜか。先にも書いたが、首都圏をはじめとする都市部での住居費があまりにも高いからだ。誰だって親は「ウザイ」し、いくら生活が楽だといっても、絶えず親と接しているのは息苦しいと、多かれ少なかれみんな思っている。にもかかわらず、独立できないことこそが問題なのだ。そりゃ確かに「家事付き住居費ただ同然」が魅力というのもあるが、バイトやフリーターなどの不安定な収入で、首都圏にまともな住居を確保する困難を考えれば、躊躇するのは当然だ。


(ついでにいえば、アパートを借りるときの保証人の問題も大きい。私のように収入の安定した、まずどう考えてもクビにならない成人でさえ、親の実印と印鑑証明を取らされた。親が反対している場合、独立は極めて難しい)


要するに、独立する経済的余裕がないからパラサイトするのであって、その逆ではない。不景気だからパラサイトが増えるのであって、パラサイトが不景気を誘発しているのではないのだ。


後章では、若者の生活の質に対する要求が贅沢になったため、パラサイトが増えたと論じているが、これも前章の、消費が増えないのはパラサイトのせいだという主張と矛盾するような気がするのだが・・・ 質の要求が高まったのなら、より消費が増えると考えるのが普通だ。


結局のところ、ここでもやはり顔を出すのは、もううんざりするくらいニュースなどで語りつくされている「土地問題」である。土地問題が不景気を長引かせ、土地問題がパラサイトを助長する。「パラサイト」問題までもが「土地問題」に行き着いてしまうというあたりに、現代日本の病理がはっきり現れているように感じられた。

家電が156,000円。一方、例えば家賃7万円のアパートに住むとしたら「敷2礼2仲介1家賃1ヶ月」で420,000円。条件の悪い6万円の部屋でも360,000円。今でも全く変わっておりませんな。


日中どんよりして陰鬱な空。特にやることもないので、明治神宮へ行き散歩。


ここは毎月閉門時刻が違っていてわかりにくい。HP

http://www.meijijingu.or.jp/

にも載っていない。

ここ2年くらいの間に、私が記録していた時刻を備忘録代りに書いておくと、

1月4:00、2月4:50、3月5:20、4月5:50、5月6:10、6月6:30、7月6:10、8月6:00、9月5:20、10月4:40、11月4:10、12月4:00

だと思う。あるいは同じ月でも閉門時刻が違う時期があるのかもしれないけど、そこまではわからない。